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ガイド / 加工プロセス

5軸加工の公差:図面で現実的に指定できる範囲

2026年9月20日

図面上の公差は約束です。仕上がった形状が、基準寸法を中心とした指定範囲に収まるという約束です。5軸加工部品では、書き込んだ公差が3つのことに同時に影響します。その公差を実現するための加工時間、それを証明するための検査、そしてそもそも見積を出そうとする加工会社の数です。

公差にかかる本当のコスト

±0.1 mmの普通公差なら、仕上げパス1回とノギスでの確認で済みます。同じ形状に±0.01 mmを指定すると、より遅い仕上げパス、より剛性の高い段取り、そして多くの場合は部品が規格内であることを示す三次元測定機(CMM)のレポートが必要になります。寸法を削る難しさが10倍になったわけではありません。正しいことを証明するコストが何倍にも膨らんだのです。

ほとんど同じに見える2枚の図面で、見積が大きく異なることがあるのはこのためです。形状の一覧は同じでも、公差の欄が違うのです。

5軸加工会社が標準で保てる公差

ほとんどの5軸加工会社は、以下を特別な治具や恒温環境なしで実現できる標準的な仕事と考えています。

材料 一般的な公差
アルミニウム 6061 / 7075 ±0.01〜±0.025 mm
ステンレス鋼 304 / 316 / 17-4 ±0.01〜±0.025 mm
チタン Grade 2 / Grade 5 ±0.01〜±0.025 mm
ニッケル合金(Inconel) ±0.025 mmが無難な目標
樹脂(PEEK、POM、PTFE) ±0.05 mmが現実的

より厳しい数値も存在します。恒温室とジグ研削盤を持つ加工会社なら、重要な穴で数ミクロンを保つこともできます。ただしそのレベルの管理は特殊技術であって標準ではなく、価格もそれ相応になります。

位置度公差こそ5軸加工の真価

複数の面を持つ部品で最も重要な公差は、単一の寸法ではなく、形状同士の位置関係であることがよくあります。ある面の穴と別の面の穴が一直線に並ぶといった関係です。3軸フライス盤ではこの関係に2回以上の段取りが必要で、段取りのたびに付け替えによる小さな誤差が積み重なります。

5軸加工機は部品を1回クランプしたまま、動かさずにすべての面に届きます。部品の異なる面にある形状同士の位置度公差は、主に機械そのものの精度で決まり、部品を何回外したかには左右されません。5軸加工部品が面同士の関係をより厳しく保てる本当の理由はここにあります。直線軸そのものが、良い3軸加工機より本質的に高精度だからではありません。

加工会社は厳しい公差をどう見積もるか

公差が厳しくなると、通常は3つのものが一緒に上がります。サイクルタイム、工具摩耗、検査です。たわみと発熱を抑えるため仕上げパスが軽く遅くなるので、サイクルタイムが延びます。寸法を安定して保つには切れ味の良い刃先を頻繁に交換する必要があるため、工具摩耗が増えます。ノギスではもはや証明にならないため、三次元測定のサイクルが必要になり、測定中に部品を保持するための専用治具を作ることもあり、検査が増えます。

ほとんどの見積では、これらは別の行として表れません。部品単価に含まれているため、同じ形状でも公差の欄が変わると価格が大きく変わるのです。

厳しい公差にお金をかける価値がある箇所

機能上、厳しくする理由がある形状に公差を指定してください。

  1. 相手部品とはまり合う穴やボス
  2. シール面とOリング溝
  3. 軸受の座面と軸のはめ合い
  4. 組立のために面をまたいで位置を合わせる必要がある箇所

それ以外は、±0.1 mmの普通公差、または加工会社自身の標準で十分です。機能上重要な穴が1つだけ厳しく、あとは妥当な普通公差という図面は、習慣ですべての寸法に同じ厳しい数値を付けた図面より安く、正確にも見積もりやすくなります。

複数の見積で公差指示を読み比べる

見積を比べるときは、基準寸法だけでなく、すべての加工会社が同じ公差で見積もっているかを確認してください。指示のない寸法を緩い一般公差とみなす会社は、デフォルトで±0.05 mmを想定する会社より必ず安く見えます。たとえば「指示なき寸法は±0.1 mm」のような普通公差の注記を図面に入れておけば、すべての加工会社が同じ範囲で見積もれます。

また、返ってくる報告書で「公差内」が何を意味するのかも確認してください。すべての指示に対してCMMの全数値レポートを付ける初品検査と、抜き取り確認で合格したという加工会社の言葉だけとでは、範囲も価格も異なります。

払いすぎないための図面の書き方

すべての寸法に厳しい両側公差を付けるのではなく、本当に重要な関係、つまりはまり合う形状の位置度や直角度に幾何公差(GD&T)を使ってください。曲面には、個々の座標公差を並べるより面の輪郭度を指定したほうが、意図が明確に伝わります。そして、その公差が何のためのものかを書いてください。ある穴が軸受の位置決めをすると知っている加工会社は、推測せずに最初から適切な治具と検査方法を選べます。

部品に必要以上に厳しい公差が入った図面を引き継いだ場合は、何かを緩める前に、どの公差が実際に価格を押し上げているかを加工会社に尋ねてください。高くつく寸法が、図面上で最も厳しく見える寸法とは限りません。

見積依頼に添えるもの

STEPファイルに、公差とGD&Tの指示が入ったPDFを添えると、最も正確な見積が得られます。どの公差が重要かわからない場合は、そう伝えたうえで、部品が何と組み合わさるのかを説明してください。組立全体を理解した加工会社なら、どの数値を厳しくし、どれを緩めるべきかを提案できることがよくあります。

まとめ

公差のコストは数値の大きさだけで決まるのではなく、検査と遅い仕上げ加工によって生じます。厳しい公差ははまり合う形状とシール部に限定し、それ以外は普通公差でカバーし、面同士の位置関係は5軸加工機の1回の段取りに任せてください。そうすれば、部品に必要以上に厳しい直線公差にお金を払わずに済みます。

よくある質問

5軸加工部品の一般的な公差はどのくらいですか?

よく整備された5軸加工機で加工するアルミやステンレスの部品では、±0.01〜±0.025 mmが一般的です。より厳しい数値も可能ですが、本当に必要な形状だけに使うべきです。

5軸加工は3軸加工より厳しい公差を保てますか?

軸そのものが高精度だからではありません。部品を1回の段取りで加工するため工程間で何もずれず、その結果、形状同士の位置関係をより厳しく保てるのです。

1つの寸法を厳しくしただけで、見積全体が上がったのはなぜですか?

厳しい公差が1つあるだけで、その形状だけでなく部品全体の仕上げパスが遅くなり、検査も増えることがあります。厳しい形状と普通公差の部分を分けて見積もるよう加工会社に依頼すれば、内訳を確認できます。

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